世の中がギスギスしています。ハラスメントの防止や早期離職の防止に頭を悩ませている管理職の方も多いのではないでしょうか。笑いを取り入れて、職場や地域社会での人間関係がよくなれば、早期離職防止やウェルビーイングの実現にもつながります。
ところが、笑いはよい面だけでなく、人を攻撃する悪い側面もあります。笑いには二面性があるのです。冗談のつもりで言ったことが、ハラスメントを助長してしまうことも、決して少なくありません。
このコラムでは、笑いの二面性について掘り下げて考えます。
などの皆さんに、ご覧いただけたら嬉しいです。
日本は笑いとの親和性が高い文化を育んできた国です。「笑う門には福来る」「笑いは百薬の長」「泣いて笑うも一生、笑って暮らすも一生」といった諺があることからもわかるように、笑いには様々な効果があります。大きく分けると、以下の3つの効果があります。
1.からだの効果(身体面)
2.こころの効果(精神面)
3.つながりの効果(社会面)
免疫の活性化・自律神経の調整・痛みの緩和などが、「からだの効果」の例です。ただ、長期的な効果については未解明の部分が多く、笑いが万能薬とまでは言えません。
ストレスの解消や、物事の見方を前向きに変える力などが、「こころの効果」です。
笑うことで人間関係が円滑になるのが「つながりの効果」です。
笑いのよい面については、田久朋寛著『健康と生きがいづくりに役立つ笑いの力』(セルバ出版)でくわしく解説しましたので、そちらも合わせてご覧ください。
一見すると、笑いはよい面ばかりですが、そう簡単ではないのが厄介なところです。職場や地域社会で、このような意見を耳にすることはないでしょうか?
笑いには二面性があります。よい面だけでなく悪い面もあることを意識しないと、意図せず人を傷つけてしまうこともあるのです。
笑いに二面性がある理由を、生物としての人間の笑いのルーツから考えてみましょう。
実は、人間の笑い、その中でも声に出す笑いは、霊長類や哺乳類のじゃれ遊びが起源だと考えられています。川沿いの道や公園で犬の散歩をしている場面を思い浮かべてみてください。ワンコ同士がじゃれ合って甘噛みしたり、取っ組み合って遊んだりしているシーンが目に浮かびませんでしたか?このようなじゃれ遊びのことを、学術用語で「プレイ・ファイティング」と言います。チンパンジーなどの霊長類や、一部の哺乳類に共通して見られる行動です。霊長類のプレイ・ファイティングの中で現れる表情が、人間の声を出す笑いのルーツだと言われています。
もう一度ワンコのじゃれ遊びを想像してください。追いかけっこをしたり、取っ組み合いをしたり、かなり攻撃的な遊びをしています。ここに人間の笑いを考える上で大事なポイントがあります。プレイ・ファイティングに攻撃的な要素が含まれる以上、人間の笑いにも必然的に攻撃的な要素が含まれるのです。
ところで、プレイ・ファイティングは激しい遊びですが、あくまで遊びです。本気で取っ組み合いをしたらケンカになってしまいます。動物のプレイ・ファイティングでは、「これは遊びだよ」というシグナルをお互いに送ることで、ケンカになるのを防いでいます。また、どちらか一方が相手を攻撃し続けるのではなく、ときどき役割を交換して遊び続けられるような双方向の働きかけが行われます。ここに人間の笑いに関する2つ目の大事なポイントがあります。笑いを通じて温かい人間関係を築くには、双方向の働きかけが大切なのです。
このコラムでは、笑いの持つ二面性について、人間の笑いの進化にさかのぼって考察しました。笑いの力を職場や地域社会で最大限に発揮するためには、以下の2つを意識するのが重要です。
人間の笑いのルーツがプレイ・ファイティングであることを知れば、この2つが大切な理由もよく理解できます。
笑いを通じて温かい人間関係を築くことができれば、心理的安全性やエンゲージメントを高めることにもつながります。温かい笑いの輪を日本中に広めていきましょう!
「笑いと遊びの研究所」では、職場や地域コミュニティに温かい笑いを増やすための研修・講演を実施しております。
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